症状を語れないうさぎさんの健康診断で何がわかるのか、まとめておきます。
うさぎさんの健康診断、実は、飼い主のため
うさぎさんは、本当に怖がり屋さんな動物です。
病院に行っただけで、血糖値が、どんどん上がってしまったり、心臓がドキドキしたり、呼吸が早くなったりします。
人間でも、病院が大嫌いな人、いますよね。
わたしも、病院が大嫌いな一人です。
仕事で、人間の病院に行ったときは、何やら風邪をもらってきたり、緊張で疲れたりしてしまいます。
なので、うさぎさんの気持ちがよくわかる人間の一人です。
実は、病院は、うさぎさんのためじゃなく、ヒトのために行くのです。
ヒトと一緒に住むことになって、少しでも、長生きしてほしいというわたしたちの気持ちがあるから、です。
病院をうまく活用することによって、うさ飼いさんの心理的な負担が、確実に減るのです。
病気のうさぎさんを見ているのは、とても、ツライものです。
うさぎさんは、とてもナイーブなので、病院や外出は、かなり負担があります。
病院の利用は、賛否両論です。
病院に行くのは、どちらかというと、人間のためです。
何の病気なのか、どうしたらよくなるのか、治るのか・・・人間は、いろいろなことを不安に思う動物だからです。
そして、不安になるのは、知らないことが多いためです。
病院に抵抗がある方は、どんな検査をするのか、最初は、そんなことを知っておくだけでも、いいかと思います。
知っていれば、少しだけ、不安が減り、緊張しないで、すむと思います。
それと、うさぎさんは、かなり人間の言葉を理解できるし、記憶力のよい動物です。
だから、今日はどんなことをするのか、うさぎさんに説明するためのヒントになれば、と思って、まとめることにしました。
人間の方が心配するのは、やはり、病気の有無とお金の問題ではないでしょうか?
そこで、まずお金の疑問をまとめてみます。
よかったら、参考になさってください。
うさぎさんの健康診断、実は、飼い主のため
うさぎさんの診療は、自由診療なので、保険がありません。
自由診療のいいところは、好きな治療方法を決めることができるところ、です。
だけど、うさぎさんの診療は、まだまだわからないことが多いものです。
うさぎさんの病気の治療は、だいたい実験動物の結果を使わせてもらっています。
うさぎさんを助けるために、犠牲になった命のことを、わかってあげてほしいと、いつも、思うのです。
実験動物たちが残していった情報を、ただ反対するのではなくて、全部、くみ取ってあげてほしいのです。
これは、わたしの勝手な気持ちです。
命の犠牲があった上に、うさぎさんの治療があることを、頭の片隅に置いて、犠牲になった子たちに、ときどきでいいので、感謝することを忘れないでほしいのです。
どうか、お願いします。
うさぎさんの病院関係のお金のこと
自由診療だから、高いイメージがあると思います。
本当のところは、獣医師会というところで、だいたいの診療の値段が決まっています。
その範囲内で、決めていいことになっています。
まずは、病院なので、初診料というものがかかります。
カルテを整理するためのお金のようなものですね。
病院によって違いますが、だいたい初診料は、900円~2,500円くらいになります。
触診や問診などの簡単な健康診断の場合は、2,000円前後になります。
病気の確認で、レントゲンをとると、5,000円前後になるかと思います。
CTはまだまだ高額で、15,000円~30,000円かかりますが、病気の詳細がわかります。
ダニの駆虫:後ろ足で、何度もかくのは、「かゆい」のサインです。
ツメダニやウサギズツキダニは、毛で増殖して、うさぎさんの体液を吸い、かゆみを引き起こします。
かゆいは、不眠になったりして、うさぎさんにとって、すごくツライものです。毛をかき分ければ、毛の中央あたりに、目で見えます(茶色っぽい、こしょうのつぶみたいな感じで見えます)。
毛を抑えて、セロハンテープで、採取してから折り畳めば、子ども用の顕微鏡(80倍くらいの倍率で)、十分に観察できます。
ダニの駆虫は、首の後ろにくすりを1滴つけるだけで、1ヶ月に1回(おくすりは、1回1,500円前後)、3ヶ月通院します。
子うさぎ時代、母うさぎから、もらっちゃっている(感染させられている)こともあります。
生後2ヶ月すぎでは、本人の免疫システムが変わるので、増殖することがあります。
うさぎさんの通院が多い病院をさがして、通院してあげてください。
駆虫は、何を使うか、説明があるはずです。獣医さんが、レボリューションか、アドバンテージを使うと教えてくれるのであれば、信用できる病院だ、という判断の目安が、できるかもしれませんね。
入院は、1日に2,500円~5,000円前後ですが、呼吸困難を伴う場合は、酸素室というICU、集中治療室を使うので、1日に5,000円~7,000円を目安にできそうです。
手術は、男の子の去勢手術は、15,000円~30,000円、女の子の避妊手術は、30,000円~50,000円です。
成長期や高齢期の外科手術は、だいたい50,000円~100,000円ほど、かかることがあります。
うさぎさんの病院のお金のこと【まとめ】
初診料:900円~2,500円
簡単な健康診断(触診や問診):2,000円前後
レントゲンなど追加の診断:5,000円前後
CTなど追加の診断:15,000円~30,000円
入院:2,500円~7,000円前後
去勢・避妊手術:15,000円~50,000円
外科手術:50,000円~100,000円
駆虫:1,500円くらいを3回程度
お薬(1週間くらい):3,000円~5,000円前後
健康診断では、若いうさぎさんで、年間2,000円くらい、年齢が上がると年間30,000円くらいが目安になりそうです。
大人になってからの病気では、検査、手術、入院で、150,000円~180,000円くらいになるでしょうか。
ペット保険もいいと思いますが、手術などでは半額しか戻らないことが多いものです。
毎月、予防もしながら、貯金する方法をおすすめします。
ちなみに、愛うさぎは、健康優良児でしたから、毎月、たまっていきました。
健康診断ですること、病気がわかることのまとめ
【体重】
・品種によって差がある
・急激な増減を確認する
・子うさぎは、成長が止まっていないか確認する
【体格】
・上からみて、太り過ぎか、やせ過ぎがないかをみる
・おなかが床についていないかをみる
・歩き方をみる
・骨折をさせないように、ケージで観察する
【問診】
・どこで迎えたか、迎えたいきさつから、病歴などを推察する
・何歳か、確認する
・生活環境を確認して、病気の要因を排除する
・ごはんの内容を確認し、太り過ぎ、やせすぎ、栄養のとりすぎ、栄養不足を確認する
・既往歴:これまでの病歴を確認する
・避妊手術・去勢手術の有無を確認し、これまでの病歴を確認する
【触診】
1.主に胸部と腹部をさわる
・内臓の異常を確認する(しこり、腫れなど)
・触られるのを嫌がる部分は、何かある可能性があるので確認する
2.顔面をさわる
・歯の不具合はないか
・毛の汚れ、ベタつきはないか
3.全体をさわる
・しこりや寄生虫などの異物がつていないか
4.足をさわる
・チカラが入っているか
・痛そうにしていないか
【目視の検査】
・毛や皮膚にいる外部寄生虫(ノミ、シラミ、ダニ、ハエの幼虫;ハエウジなど)を調べる
・セロハンテープなどで卵を鑑別する
・足底にできものがないか、確認する
・元気があるか
・姿勢はいいか
・毛並みはいいか
・眼振はないか
・歯並びをみる
・前足を確認
・足に力が入っているか
・お尻の周りのよごれなどをみる
【糞便検査】
・腸にいる寄生虫(蟯虫;病原性なし)を調べる
・便を薄く塗ったガラスを使って、顕微鏡でみる
・おしりの周りは、セロハンテープで卵をとり、確認する
・できる限り、新しい便で検査する
【尿検査】
・血尿の有無を試験紙で確認する
・Caの量を検査する
・できる限り、新しい尿で検査する
【血液検査】
・耳や後ろ足などから採血する
1.赤血球:出血を確認できる
2.白血球:細菌感染を確認できる
3.腎臓機能の項目(Cre, BUN):尿路、消化管の病気やエンセファリトゾーン症のヒントにする
4.肝機能の項目(ALP, AST, ALT, T-Bil):肝臓の病気のヒントにする
5.総コレステロール(T-chol):性別で差があるが、肝機能、ストレスなどのヒントにする
6.血糖値(Glu):ストレスで増加するので、病院に来るとだいたい高い値。糖尿病のヒントにする
7.TP:脱水の有無のヒントにする
8.Alb:食欲のヒントにする
9.Glb:腫瘍のヒントにしたり、炎症のヒントにする
【口腔検査/歯科】
・乳歯をみて、年齢を確認する
・歯並びや咬み合わせを確認する
【眼の検査】
・眼を目視でみる
・眼圧の確認
・眼球が突出していないか、確認
【エンセファリトゾーン症の確認】
うさぎさんの7割が感染歴を持っているので、血液検査のときに、抗体(免疫)を確認する。
免疫の確認は、3日くらいかかる。
免疫がある場合は、キャリアとなり、抗体+(陽性)だけど、実際には、軽度や発症しない場合が多い。
発症しても、症状がなくなり、戻ることもある。
複数のうさぎさんを迎えるときや、赤ちゃんを望むときなどは、検査しておくと安心できる。
【レントゲン】
・胸部:主に肺、心臓などの炎症や腫瘍を内側から確認する
・腹部:消化管、泌尿器、生殖器、肝臓など循環器を内側から確認
・骨:骨の疾患を確認する
【ほか】
レントゲンで病気が見つかって、より詳しく知るための検査
1.MRI
2.CT
・臓器の中の様子を確認できる。
・がんのスタートか、転移かがわかる。
3.エコー(超音波)
・主に腹部の検査をする
・心臓の状態も確認できる
・腹水がたまっていないか、確認する
参考にしたもの
・自分の経験
・うさ飼いさんの経験
参考文献:
・加藤郁、ウサギの診療ポイント、動物臨床医学20(2)、31-39、2011
・カラーアトラス エキゾチックアニマル 哺乳類編、霍野晋吉と横須賀誠、株式会社緑書房、2012年