うさぎさんは、個体差が大きい生き物です。
基準値や平均値、動物病院でもらった正常値の基準が、ときどき、当てにならないことがあります。
わたしなんて、「すごく、よく寝る」って、言われてたわよっ!
たしかにっ!はなえお姉ちゃんが、すごくよく寝るタイプだったから、お母さんが、いつも、ボクが寝不足なんじゃないか、って心配しすぎちゃうんだ・・・
ミル吉くんは、この間、病院の先生に、「キミは、よく食べるねぇ!」って、ホメられた、みたいじゃない!?
ウン!たくさん、食べると、みんなが、ホメてくれるから、うれしいんだっ!それと、お母さんが、「歯の病気や、おなかの病気の予防になるよ」って、言ってたし。
うさぎさんの基準値とされているもの
- 心拍数:130~325 回/分
※子うさぎは、だいたい早い!
ボクは、1分間に、250回くらいだった。お母さんが聴診器使って、測ったんだ。
- 呼吸数:30~60 回/分
※子うさぎは、もっともっと早い!
- 体温:38.5~40 ℃
- 行動の仕方:好奇心旺盛、わがまま、やんちゃ、元気
- 血糖値:148~190 mg/dl
※通院の緊張で、高くなる!
- 適温:18~23 ℃
※寒がりと、暑がりがいる!
- 湿度:30~70 %
- 水の量:120 ml/kg
※暑いと、たくさん飲む!
- 食事の量:22.5 g/kg ※子うさぎは、たくさん食べる!
- 糞の数:100~200個/日
- 尿:10~35 ml/kg
だけど、うさぎさんと暮らしていると、正常値や基準値は、全く違うことがあります。
例えば、子うさぎ時代は、体温が高い子もいるし、心臓の鼓動が大きかったり、体の揺れや、呼吸が早いような症状が目につきます。
それと、もう一つ、子うさぎ時代は、、盲腸便を食べ残したり、食べられなかったりする時も、あります。
盲腸便(盲腸糞)は、うさぎさんの健康食品ですが、子うさぎ時代は、おなかの菌のバランスを整えている時代なので、食べないこともあります。
いい健康食品ができるようになれば、ちゃんと自分で食べます。
子うさぎは、頭とカラダの重さのバランスが取れなかったり、体重移動がうまくできずに、後ろに倒れちゃったりするので、失敗するときが、あるのです。
大きくなってからも、太りすぎたり、高齢になってきたりして、失敗することも、あるのよ!だから、心配し過ぎないでねっ!
みんな、うんちのことで、喜んだり、心配したり・・・ボク、いいの、出すよぉ!
それから、いい盲腸便ができて、栄養が必要だ、とわかれば、自分から食べるようになります。
うさ飼いさんの気持ちは、うさぎさんのストレートに伝わってしまうので、あまり神経質にならないことも、大事です。
母(父)は、強し!になる時期です。
飼育本と照らし合わせては、すごく、悩んでしまうことがあります。
子うさぎ時代は、同じ個性の子が、いません。
だから、他の子と比べずに、いつもと、同じか、昨日との違いを、注意深く、観察してみます。
さっき紹介した、基準値や平均値は、起きているとき、寝ているときでも違います。
それから、時間帯によっても、ずいぶん違います。
興奮したから、運動したから、寝ているから、だけではなくて、その子の個体差の要素が、多いです。
多くのうさ飼いさんが、悩んでしまうのは、基準値管理だから、なんですね。
質問サイトには、たくさんの質問があります。
だけど、結局のところ、最後は、動物病院へ・・・と、答えます。
正直なところ、わからないことが多いからです。
うさぎさんと暮らすときに、大事なことは、その子の幸せを考え続けること。
そして、うさぎさんの体調管理で大事なことは、「いつもと違う!」に気がつくことです。
うさぎさんの「いつも」観察ができると
- いつも、たくさん走るのに、あまり走らない
- いつもよりも、耳が熱い
- いつもよりも、体が揺れている
- いつもよりも、食べない
- いつもよりも、飲まない
- いつものペレットを食べない
うさぎさんの「いつもの状態」がわかるまでは、多少自分の生活に無理しても、観察が必要になってしまいます。
そういう意味では、メディアで紹介される「うさぎさんは飼いやすい」は、大ウソです。
うさぎさんは、まだ、わかっていないことが多すぎるんです。
人間が、うさぎさんと暮らすようになった歴史は、ほとんどない。
人間は、うさぎさんの管理ができると思い込んでいるだけで、本当は、まだ制圧しきれていないのです。
人間は、勉強家だね。たくさん知りたいことが、湧いて出るんだもの!
ある日、「他の子と比べて、呼吸が荒い」と、言われて、気になって気になって、わたしは、夜も眠れなくなったことがあります。
いろいろな質問サイトも読んだし、youtubeの子うさぎ動画は、たくさん見ました。
そうやって、体力を消耗し、自信を喪失してしまう人を救いたい!が、この記事の目的です。
まず、呼吸とは・・・?
呼吸の音は、獣医学でも、心臓の音と聞き分ける技術を習得する訓練が必要、と記されていました。
呼吸は、うさぎさんの鼻の動きと連動していないし、お腹の動きは、心臓に連動していたりと、本当に見分けにくいものです。
聴診器をもっていたら、おなかの横あたりに当てて、ファファファという音がすれば、それが呼吸です。
心臓だと、トクトクトクみたいな音で、文章ではなかなか表現しずらいです。
呼吸数がわからなければ、心拍数で測定しておけば、いいと思います。
呼吸数と心拍数は、だいたい同じ数になります。
ご存じのように、うさぎさんは、呼吸がものすごく弱い生き物なんです。
他の生き物とは、まったく違います。
呼吸が荒いという表現を観察するには、座ったときに腰の周辺を観察し、横に動いていたり、その動きが早いか、または大きいとき。
それが、「呼吸が荒い」の兆候です。
うさぎさんの腹式呼吸は、呼吸の障害があるときです。
それから、腹式呼吸は、うさぎ人生最大の、ピンチや大興奮した後も、なるときがあります。
もう一つは、鼻の下が開いて、口が見えるような感じで、呼吸しているときです。
口呼吸のように見える、これを「呼吸が荒い」とか「呼吸が苦しそう」と表現できます。
呼吸がもともと弱いので、「呼吸が苦しい」とまで、言い切れるか、わかりません。
あくまでも、人間からみて、「呼吸が苦しそう」という表現が、適当なのかもしれません。
子うさぎ時代は、好奇心旺盛な子だと、鼻ヒクヒクで一生懸命、ニオイの調査しようとします。
ものすごく、早いです。そういう子うさぎは、好奇心旺盛とか、言われます。
そうすると、なんとなく、呼吸は荒いように見えてしまいます。
リラックスしているのに、おなかの動きが早いように見えてしまうこともあります。
特に子うさぎさんは、今、まさにカラダを作っている最中なので、呼吸が早いのかどうか、わかりにくいと言えます。
呼吸が気になっているのであれば、耳の体温の様子と、チアノーゼの様子を観察します。
チアノーゼというのは、口のあたりの色が紫色になっていることです。
チアノーゼは、カラダをめぐっている、血液の酸素濃度が足りていない状態です。
人間の赤ちゃんでも、一時的に、チアノーゼになる子がいます。
チアノーゼの症状があれば、呼吸器系か腎臓に障害が出ている可能性があります。
チアノーゼがなくて、耳が熱ければ、「熱中症」気味です。
子うさぎさんが、呼吸が早いと感じているなら、体温の様子も観察してみます。
毛があるので、カラダの熱は、人間の手では感じにくいので、耳を使います。
やさしく耳を持って、熱いと感じるかどうか、が目安です。
耳が熱ければ、カラダに熱がこもって、体温を下げようとして、呼吸数を多くして、冷やします。
耳が熱いときは、冷房を使って、室温を下げて、様子を見ます。
うさぎさんの適温は、人間にとって低い温度です。
体温が高い方がいいのか、体温が低い方がいいのか、人間でも賛否両論です。
体温が高い方が、免疫力が高いなど、人間でもいいことがありますよね。
愛うさぎは、どちらかというと寒がりでした。
朝などに、耳をさわってみるクセをつけると、うさぎさんの体調管理が楽になります。
まずは、お迎えの前によく見ておければ、もっと体調管理が楽です。
また、お迎えを決めてからも、お迎えに行った日に、時間をかけて観察してみます。
一生懸命、ボクたちの体調を読み取ろうとしてくれているんだね・・・ありがとう。
そして、家族になってから、数日間を見守ると、そのうさぎさんの「いつも」がわかるようになります。
本当に、毎日で、毎回で、変わります。
ベテランの人や、他の誰かの経験や感覚が、当てにならないことが多いものです。
落ち着きがない。
せわしなく、後ろ足で、カラダをかくしぐさが、頻繁なときは、ダニを疑ってください。
確実に、うさぎさんは、睡眠不足になります。体温が高くなるはずです。
睡眠不足かどうかは、目やにも目安になります。人間と同じです。
ところで、ダニは、目で見えます。
よくかきむしっている、首の後ろあたり毛をめくり、茶色いコショウの粉くらいのものがあれば、「ダニ」です。
卵や幼虫は、白っぽい粒に見えるので、シオコショウのような粒があれば、ダニがいます。
ダニの特徴は、ダニのツメを顕微鏡で観察して、何のダニか、調べます。
虫などの種類を確認することを、「同定(どうてい)」といいます。
一番多いのは、ツメダニだそうです。
そして、二番目に多いのが、ウサギズツキダニです。
例えば、ウサギズツキダニのように、「ウサギ」と名の付く通り、ウサギにしか、くっつきません。
うさぎのカラダを使って、寄生して生きているダニです。
ダニを疑ったら、動物病院に行きます。
どんな薬をつけるのか、必ず、質問してください。
信頼できる獣医さんを見つけられないという、悩みが多いものです。
ダニの駆除薬で、アドバンテージとか、レボリューション 6 %を使う、と教えてくれれば、ひとまず、安心して任せてください。
うさぎさんを任せられるかどうか、目安として、判断が材料にできる質問です。
犬や猫に使う、ノミ取の薬(ダメ!→【フロントライン】)は、うさぎさんには、猛毒です。
ダメ!→【フロントライン】の箱のうらには、「ウサギには、使用しないこと」と、注意書きがちゃんと書いてあるのです。
獣医学の学会では、横山ら(2010)が、フロントライン(有効成分:フィプロニル)の中毒について、報告しています。
・・・ということは、フロントラインを使ってしまう獣医さんもいるかもしれない、わけですね。
多くのうさ飼いさんが、動物病院を信用できない理由は、不注意で不勉強なヒトが世の中にいるから、なのです。
動物病院の選択は、うさ飼いさんの責任になってしまいます。
ネットだけしか情報が得られない場合は、獣医師会に問い合わせるのもできます。
緊急時は、焦っています。普段のリサーチが、大事だなぁ、と自分でも思います。
ダニがいると、ホント、ツラいんだ・・・寝不足になっちゃうし、ごはんを落ち着いて食べることも、できないよぉ!
ウサギズツキダニは、うさぎナシでは生きられないっ!共存なんて、できないわねっ!わたしたち、うさぎが、一方的に、被害にあっているんだもの!
寄生虫の余談です。
イヌノミというノミは、犬の体液だけを吸って生きています。
現在、イヌノミは、絶滅危惧種ぐらいに、珍しい寄生虫です。
ネコノミは、ネコとついているのですが、ヒトにも犬にもネコにも、おそらくうさぎさんの体液も吸います。
蟯虫(ギョウチュウ)は、うさぎさんに寄生するのが、「うさぎ蟯虫」です。
ヒトの蟯虫(ギョウチュウ)は、ヒトに寄生しています。
小学校のころ、蟯虫(ギョウチュウ)検査をしたと思いますが、うさぎさんも同じように、おしり、こう門にセロハンテープをペッタンコして、虫の卵があるかどうか、みます。
蟯虫(ギョウチュウ)は、オスとメスがいます。
オスだけだと卵を産みません。オスだけが寄生しても、大人の虫(成虫)になって、おしりから、ポロンとでて、いなくなります。
メスは、卵を産みます。この卵を観察します。
余談だけど、大学生のとき、わたしは、蟯虫(ギョウチュウ)の検査のアルバイトをしていました。
え!だから、お母さんって・・・虫が怖くないんだ・・・
うさぎぎょう虫について
ある朝、うさぎさんのうんちの中に、シラスみたいな虫がいたら!?落ち着きがない、うさぎさんの様子が気になっている方、うさぎぎょう虫について、もっと知りたい、という方に向けて、書きました。→記事の一覧へ
男の子と女の子の違いについて、お店で悩んでいる人は、だいたい女の子の避妊手術です。
女の子の避妊手術が開腹であることで、少々、術後のケアが必要なこと、手術の値段が高くなることを心配している人が、ほとんど。
その結果で、男の子が、寿命が長いと考える方もいるようですが、これは、違います。
男の子は、子うさぎ時代のケアが難しいものです。
人間と同じですが、女性から、男性が産まれてくるというのは、男の子のカラダに大きな負担がかかっています。
以前、寿命を調べました(その時のデータは、コチラ)。
この独自のデータをさらに追加して(女の子92匹、男の子47匹)、亡くなった年齢のパーセンタイル値を、作りました。
女の子の30%死亡時の年齢は、およそ5歳代で亡くなっている。
それに対して、男の子の30%死亡時の年齢は、3歳代です。
1歳代までに、亡くなった男の子は、12%でした。
女の子の10%は、3歳代までに亡くなっています。
この統計を信用すれば、男の子のうさぎさんは、若いうちの死亡率が高いことになります。
死亡率10%:男の子;1歳代までに、女の子;3歳代までに
死亡率30%:男の子;3歳代までに、女の子;5歳代までに
お迎えするときに、将来のリスクだけで、性別を選ぶのではなく、直近のリスクも知っておくほうが賢明です。
それと、もっと、うさぎさんとの出会いを大事にしましょう!
女の子の避妊手術のこと、子宮の病気のことは、別の記事で紹介しています。
すごく、悩んだので、記事が2つになってしまいました。2つセットなので、時間があるときに参考になさってください。
うさぎさんの避妊手術の悩みについての記事_1:子宮腺がん(子宮がん)の発生率のデータの高さと、肺転移の恐怖は本当か?
避妊手術の悩み_2:全身麻酔のリスクと病気ではないカラダを傷つけるのは正しいのか?
男の子の去勢手術のことは、また別の機会に紹介したいと思います。
参考資料&文献
・横山望, 山根剛, 野中雄一, 大野晃治, 藤原あずさ, 杉田圭輔, 井上春奈, 佐川涼子, 高島一昭, 小笠原淳子, 水谷雄一郎, 松本郁実, 才田祐人, 和田優子, 塚田悠貴, 宮嵜大樹,山根義久 (2010): フィプロニル投与による中毒を疑ったウサギの1例. 第31回動物臨床医学会, 49-50, 日本・大阪
・うさぎ専門店の助言より
・総合ペットショップの助言より
最初のページに戻る